「くしゃん」

那唖挫がくしゃみをした。

「っくしゅ」
続けて螺呪羅がくしゃみをした。
「うう・・お前のがうつった・・」
「知るか。」

「ひっくしゅ。」
障子の向こうからもくしゃみが聞こえたかと思うと、朱天が顔を出した。
「ほら、こいつにまでうつった。そうとう菌が強いんだな。おまえのくしゃみ。」
「お前らのくしゃみの事まで俺のせいにするな。」
「なんの話だ?」
「那唖挫菌の話だ。」「違う!」
「はあ?」

「ぶふぇっくしゅん!」
そして、ひときわでかいくしゃみが外から聞こえてきた。
3人が顔を向けると、木刀を片手に鼻をこすっている悪奴弥守がいた。
「ぶははははは!」
額を抑えて螺呪羅が笑い出した。
驚いて振り向いた悪奴弥守の前には、大笑いしてる螺呪羅とそれを不思議そうに見ている朱天、
そして、何故か恐い顔で自分を睨み付ける那唖挫の姿があった。
「お前まで、俺を馬鹿にするのか・・・。」
「は?」
そして、那唖挫はくるりと背を向けて部屋を出た。
そのままスタスタと3人から離れていく。
「ちょ、ちょっと待て、何だ、一体!?」
無言。
「おい!那唖挫!待てって、おい!なんなんだよおい・・・。」

そんなある冬の昼下がり。
こうして確実に、四人の仲はこじれていくのである。

『くしゃみ』